やあどうも、Peter@peters_life0801です。
本日はStill Wakes The Deepという作品をご紹介。
いやあ、久々に満足いくホラーゲーだったね!
ぼかしてはいるがクリア時間やエンディングの感想含め、少しネタバレが混じっているのでご注意を。
概要
2024年6月18日発売。対応機種はPC、Xbox、PSでお値段は3900円。
開発元はイギリスはブライトンに拠を構えるチーム、The Chinese Room.
あのThe Chinese Roomが、今度は一人称視点のシナリオホラーに回帰…それが『STILL WAKES THE DEEP』だ。ゲーム開発スタジオのThe Chinese Roomは、これまでにも『Amnesia: A Machine for Pigs』や『Everybody’s Gone to the Rapture』、『Dear Esther』といった話題作を世に送り出してきた。
『STILL WAKES THE DEEP』の舞台は、北海に浮かぶ石油掘削施設。そこで作業員として働くプレイヤーは、激しい嵐や修羅場を命からがらくぐり抜けて、暗く凍てつく北海を生き延びる。通信回線は全滅で、脱出方法も皆無といった状況で、未知の恐怖に立ち向かうのだ……。
引用元:https://www.xbox.com/ja-JP/games/store/still-wakes-the-deep/9n88dfrx8wcj
ざっくり言えば北海の石油掘削施設でドリルが、何かヤバいものを掘り当ててしまったらしく
施設全体が奇妙な肉塊なのか生物なのか・・・に侵食されてしまう。
働いていた人間たちもこの肉塊に取り込まれ怪物に変貌していく中、生き残りをかけて
脱出する方法を模索する一人称視点のホラーゲーム。
血管のような触手や臓器のようなもので構成される謎の肉塊。
ドクドク脈打っていて気持ち悪いが、どこか神秘的な光を放っていたりも。
余談だがイギリスのチームなのになぜChinese? と思ったのだが、この名前の由来は哲学者である
ジョン・サールの思考実験法からきているらしい。
なかなか面白く興味深い話なので、気になった人はwikiの記事で調べてみてね。
物語と翻訳がめちゃくちゃ良いぞ!
ネタバレになってしまうので、ストーリーに関してはあまり語るわけにはいかない。
簡潔に述べるならば未知なるものへの恐怖や、生き残った者たちによる人間ドラマが上手く描かれていて大変楽しめた。
そしてその物語を引き立てるローカライズ。
これが本作最大の特徴・・・というか日本語版限定なのかもしれないが、翻訳された日本語が
九州弁(正確には長崎弁らしい)というものがある。
これが最初は面食らって不覚にも笑ってしまったのだが、味があって凄く良いんだ。
このゲームね、オリジナルの言語は英語なんだけど、すっごく訛りが強いスコットランドの発音が使われてるのよ。
※上で日本語版限定 “なのかもしれないが” と書いたのはそのため。
主流であるアメリカ/イギリス英語のネイティブでも分かりにくいと感じる人は多いだろう。
で、開発者さんが翻訳家の方に、この訛りを日本語でどうにか表現できないでしょうかと
打診した結果、誕生したのが本作の九州弁ローカライズらしいのね。
じゃあ私の出身地の言葉で翻訳してみましょう、ということでこうなったそうだ。
これが
・地方労働者たちが働いている北海の空気感
・登場人物たちの純朴な人柄
・限られた空間で寝食を共にしているからこそ生まれている仲間意識
といった本作を語る上で欠かせぬ種々の要素をとても、とても上手く表現できていると思うんだ。
※会話などから皆お互いに仲が良かったと推察できる。アディールだけは事件前の食堂でのやりとりや
変異後のセリフなどから、主人公に嫉妬しており犬猿の仲だったようだが。
僕は英語そこそこいけるんだけど本作は、翻訳文から恐らく簡単な単語を使っているような
短いセリフでも、訛りがきつすぎて聞き取れないシーンがたくさんあった。
ネイティブが感じるであろう違和感を、日本語のきつめの方言で表現するというのは
英断であったとプレイし終えた上で思う。
(きつめとはいえ即座に脳内で標準語に変換できる程度)
自分がリアルでは方言話者(関西弁)というのもあるからかもしれないが、終盤の主人公の慟哭は
この翻訳だからこそより身近に感じられ、心に突き刺さり、感情を揺さぶられた。
ローカライズ=標準語が当たり前と頭が凝り固まっていたがいやはや、舞台によっては
こういうやり方も全然ありだな。
なお、このローカライズには否定的な声が大きいそうだ。
X(旧ツイッター)では翻訳者さんのアカウントが軽く炎上しており、中には汚い言葉で人格否定までしているゴミも混じっているが、こんなバカは相手にしたり、こいつらの言葉で胸を痛めたりしないでほしい。
もちろんきちんとした批判には表現者として、耳を傾ける必要はあるだろうけどね。
メインは英語なので難しいだろうが、標準語字幕もあればあれば尚良かったのかもしれないな。
この翻訳だからこそ感動が増した自分としては、変えたり実装してほしくはないのが本音だけど。
色んな意見があるだろうが、僕はこの翻訳をしてくださった方に一ゲーマーとして、最大級の賛辞を贈りたい。
ちょっとした愚痴
ここはゲーム内容には関係ないし、かなり口も悪くなっているので次項まで読み飛ばすのを推奨。
ちょっと愚痴っちゃうけどやっぱオタクって大嫌いだわ。
僕自身もオタクだが、狭量な奴が多すぎて自分の気に入らないものには今回の件のように
スタッフを人格批判までして貶める奴がかなり多い。
いや、こういうバカが目立つだけで実際は少数派だと思いたいが、レイシストやミソジニー併発してるようなのも含め、やばい奴を目にする機会があまりにも多すぎるのでね。
漫画やアニメ、ゲーム、映画などは多様な考えや相互理解、友情や愛情を説くものが数多いというのに、こういう奴らは作品を通して一体何を学んでいるんだろうな。
少し暴言を吐いたが実際のところは、こんな奴ら以上に物言わぬ、表に出てこない良識ある人の方が多いのだろうけどさ。
僕はネットでもリアルでできない言動は絶対しないし、このブログも友人に見られても困らないような文体・内容になっている。別に飾っているわけではなく、そういう人格というだけだ。
リアルと違うのはせいぜい標準語になっていることと、一人称を俺じゃなく僕にしていることぐらいだろうか。
上でゴミとかバカとか言ってるって? 無礼な奴にはこちらも相応の態度で臨むだけだよ。
まっとうな方には絶対こんな言葉を浴びせたりしないからね。
そもそも未だにリアルとネットとまるで違う世界のように分けている人が多いが、僕からすれば
そんな垣根はないし地続きになっているんだよ。だから匿名を隠れ蓑にしようが、誹謗中傷も
度が過ぎれば身元を開示されて、時には逮捕もされる。
基本的にお互い名前どころか顔すら見えぬプラットフォームであるからこそ、実際の対面以上に
少なくとも僕は相手に気を遣うので、平気で見知らぬ他人へ侮辱するような言葉を投げつける連中は微塵も理解できないな。
面と向かって人には言えないようなことや、友人家族には見せられないような言葉を匿名ならば吐ける。
こういう人間は匿名だからネットだからどうこう関係なく、それがそいつの人格であり本性なんだろうさ。
ネットだからこそ本音が言えると宣う奴もいるが、他者へ呪詛をぶつけずに
リアルでは本音を話せる相手すらいない、てめえの人生を呪ってろっての。
出てくる本音とやらがそんな邪悪な人間だから、リアルにはそういう相手がいないんだろうけどな。
多彩な恐怖の演出が凄い!
さて、話を戻そう。
ホラーゲームならば恐怖演出は最も大切な要素の一つだが、本作には迷うことなく満点を付けたい。
というのもこのゲームの場合は “怖さのバリエーション” が豊富で高所での綱渡りや
足場から足場への飛び移り、崩落に水没などなど、怪物の脅威だけでなく舞台が崩壊していき、それに巻き込まれて死んでしまうという恐怖とも、常に隣り合わせだからだ。
追われる恐怖、高所、閉所、暗所、窒息・・・誰もが何かしら、精神ダメージを受ける恐怖演出が一つは混じっているんじゃないだろうか。
鉄骨一本分程度の足場を恐る恐る横歩き。
僕がきつかったのは水への恐怖。酸素が持つギリギリの距離を泳いで進むなど、別に水恐怖症ではなくとも、まるで自分も息が苦しくなってくるような錯覚を覚えた。
水責めというだけでも苦しいのに、舞台がクリスマスの北海でしかも石油掘削施設。
つまり水はめちゃくちゃ冷たいし、施設が崩壊していることで石油が混じっているという地獄ぶり。
(主人公は凍えてしまい、暖を取るシーンが何度か挟まれる)
というか全体的に共感しやすい、痛みがイメージできてしまう場面が多かった印象だね。
死にしはしない程度の高所から飛び降りるとか、足場から足場へ飛び移る際に縁に捕まった時に腹を強打してしまうのとか。
こういうのも別に自分がダメージ喰らってるわけじゃないのに、うめき声や効果音がよくできているせいで痛い思いをしているような気になってしまったな。
もちろん恐怖演出の主役たる怪物の不気味さも一級品だ。
ちょっとプレイに夢中になりすぎて画像は用意できなかったんだけど、奇怪な肉塊のようなものに
取り込まれ、襲ってくるかつての同僚たちというシチュエーションは超怖い。
ゾンビものが定番、ゲームならばSIRENなどが印象深いが、見知った顔が変わり果てた姿で
襲ってくるのは精神をやられる。本作は半端に生前(?)の人格も残っているので余計に怖い。
ジャンプスケアに頼らず、色んな怖さを描き切った演出にもまた、賛辞を贈りたい。
プレイしやすさ抜群! 最高のユーザビリティ
オプションはこれでもかと言うほどに充実しており、字幕の細かいカスタマイズから
モーションブラーやカメラ揺れの切り替え、視野角の調整など個人的に必要な項目は一通り用意されている。
初期設定ではほどなくして酔ってしまったのだが、これらを調節することで通してプレイしても平気なように。
本編ゲーム内では主人公が次へ進む場所をチラッと見たり、ゴテゴテしていて一見行先が分からないような場所でも、黄色いペンキやテープなどで強調しておいてくれるなど、とにかく導線や誘導がしっかりしていたのが好印象。
チェックポイントが細かく用意されていて、死んでしまってもすぐやり直せるのも助かったね。
先日紹介したカリストプロトコルなどはこの辺が弱めで、何度か迷うことがあったり
リトライが面倒でやる気が無くなることがあったからね。
遊びやすさに心を砕いてくれている本作の仕様は大変ありがたかった。
気になった点
クリアまで約5時間、特にやり込み要素や分岐も無いので、満足感は高いもののボリュームはいまいち。
あとは秘密の実績が多いことぐらいかな。条件が分からず、やたら達成率も低いものが多いが、はてさてどんな条件が設定されているのやら?
せっかくなので攻略情報と言うほどでもないが、豆知識を一つ。
条件が明示されている数少ない実績、ウォーキング・シミュレーター。走らずに合計十分以内にゲームをクリアする、とあるがこれは恐らく走った合計時間が十分未満という意味。
怪物に追われるなどどうしてもダッシュが必要な場面以外は使わなければ、楽々達成できる上にスコアも高いので是非狙ってみよう。
通常移動に遅さを感じないので、快適性も別に損なわれはしないしね。私的には、だけど。
まとめ
【評価/レビュー】 ザ・カリストプロトコル 【発売中止となった問題作…?】
プレイ時間は5時間4分で実績は515/1000解除。
ユーザーに配慮してくれている遊びやすさに質の高い物語、優れた恐怖演出、そしてローカライズ。
色んな要素が高いレベルでまとまっていてクリア時にはまるで、一本の良質なホラー映画を見終えたかのようで大変満足できた作品だった。
怪物の正体が未知の巨大生物なのか神や悪魔的なものなのか、最後まで不明なのは賛否あるかもしれないが謎のまま終わるのはホラーではあるあるだし、何か分からないこそ怖さや不気味さが強調されている面もあると思うので、個人的には結末もこれで良し。
孤立した洋上で命がけで戦い、多くの人を救った(と、信じたい。怪物がどうなったかは不明)が
誰にも知られず冷たい波間に消えていった勇敢な人間たちの物語。
素晴らしい作品だった。