【評価/レビュー】  三国志 漢末覇業  【本場中国の三国志ゲー!】

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やあどうもー、Peter@peters_life0801です。

システムの解説なども含め何度か紹介してきた三国志 漢末覇業。
プレイ時間は60時間ほどになり、遊び方も一通り分かってきたのでそろそろレビューしてみよう。

 

三国志漢末霸業

三国志漢末霸業
開発元:ChengDu LongYou Tech Ltd
¥1,100
posted withアプリーチ

 

本作はSTEAMのほかにiPhoneとAndroidで配信中。
上記リンクはスマホ版のものだが、この記事はSTEAM版を遊んだ感想を基に執筆している。

どんな違いがあるかは知らないけど、一応ね。

 

お気に入り度:★★★★☆

 

 

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概要

昔のコーエー三国志にインスパイアを受けたとされる、三国志の本場である中国発の戦略シミュレーション。

アーリーアクセス版として登場して以来、数年間のアップデートを経て今年2021年2月、ついに正式リリースされた。製作は龙游(竜遊)天下スタジオ。

 

合戦や内政に関するシステムほか、初めて触った時の感想なんかは以下の記事で紹介しているので、よければどうぞ。

 

 

 

 

大体、三国志7や10あたりがベースになっていると思うんだけど
近頃の作品のように内政パートと戦略パートに分かれているので、より戦略的に楽しめるようになっている印象。
(近頃って言っても、これが採用されたのって三国志9あたりが初出だっけ?)

 

戦略パートはセミリアルタイム。命令した武将たちはこの画面で動き始める。

惜しむらくは一旦行き先が決まった武将には一切命令をできない点。
例えば途中で進軍先を変えたい部隊だとか、輸送中の武将をやっぱり帰城させたいだとかの変更ができない。

 

 

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良かった点

ターン制派歓喜! 合戦が楽しい!

今や歴史戦略SLGでは・・・つっても信長の野望と三国志しか知らないけど、セミリアルタイムの合戦が主流だよね。

あれがどうも、基本的に見てるだけで好きになれないもんで、今どきのグラフィックで戦闘はターン制という本作はめちゃくちゃ楽しい。

 

どっちでも結局、シミュレーションRPGはともかく戦略SLGの場合は
どれだけ物量に差を付けられるかって、ほとんど戦う前から勝敗は決してるんだけど
やっぱ豊富な戦技や計略を駆使しつつ一手一手じっくり考えながら進めたいのよ。

見た目が決戦シリーズぐらいワチャワチャしてて、目でも楽しめるんならセミリアルでもいいけどね。

 

 

顔グラが良い!

最初は、良くはないけどインディーズだしこんなもんかぐらいにしか思っていなかった顔グラなんだけど、ずっと遊んでるうちにこれはこれで好きだなと思うように。

コーエー三国志や信長の野望の絵も良いけど、最近ちょっと美男美女増やしすぎじゃないか?と思ったりするもんで。

容姿が良かったと伝わっている人物ならあれでいいと思うんだけど、近頃の作品は
特にそんな逸話はない武将でも中性的なイケメンにされてたりするしさー。

大志の氏照さんとかショックだよ! 創造のグラのがよっぽどカッコいいよ!

 

 

 

なお、本作の顔グラの説明はストアページによれば

経典的なイラスト線画のスタイルで、古朴かつ典雅

だそうで、ちょっと訳が怪しい感じだけど言いたいことは伝わってくる。

 

古朴は日本にはない言葉だけど漢字から分かるイメージ通り、古めかしく素朴な様という意味。

素朴ながら典雅。確かにそうだなと頷ける、なかなか味わい深いグラだと思う。
ジワジワと好きになってくる、まさにスルメのような顔グラだ。

 

 

武将の個性付けも良い感じ!

パラメーターが異常に細分化されているので、各武将の能力を眺めているだけでも楽しいし
完全な無能という武将はあまりおらず、誰でも何かしら仕事を任せられるというのはありがたい点だ。

あの楊松さんですら賄賂のイメージからかそこそこ商業が高いお陰で役に立つ。

 

 

こちら、以前の記事にも登場してもらった史渙将軍。
全体的に酷い能力値だが巡察だけは高いので治安上げ要員として内政で活躍することができる。

コーエーのゲームでは政治の数値さえ高ければ、内政ではマルチに活躍できる作品がほとんどだが
こちらは例を挙げれば農業は得意だけど商業はてんでダメ、なんて人物がたくさんいる。

 

ここまで細かくすると設定する側は大変だろうけど、このシステムだと
治水事業で大活躍したのに内政が全然できない佐々成政みたいな悲劇は生まれないわけだ。
(革新辺りから政治もジワジワ上がってきてるけど昔は20とかだった)

 

 

完全な無能がほぼいない反面、完璧超人もいない。曹操ですら水軍など一部の能力が低かったりする。

有名武将は合戦で固有戦法が使えたりもするし、個性付けはかなり良い感じにできていると言えるだろう。ただしこの固有戦法・・・まあこれに関しては後述しよう。

 

 

BGM最高!

二胡や古箏など中国楽器をメインに据えつつ、バイオリンなどの洋楽器も使用されており
中華と西洋が入り混じった音色はなんとも幻想的で、三国時代の壮大な世界観を音楽面で上手く表現できているように思う。

製作者的にも本作のBGMには自信があるのか、STEAMのストアページでは音楽のメイキングシーンのムービーを見ることができる。

 

多くの曲が聴き惚れてしまうほどの圧倒的なクオリティなんだけど、ゲーム中であっても
ループせずに曲が終わるとまた最初から鳴り始めてしまう点だけは残念だ。

 

 

充実している編集機能!

初期保有資源や合戦のダメージのバランスなど、自勢力と敵勢力で差を付けたり
難易度設定が細かく調整できるのは魅力的。

新武将や新君主の作成も可能だし、ゲーム中では勢力や都市の数値に武将の能力値など
プレイヤーが欲しがるであろう編集機能は一通り揃っている。

ただしゲーム中の編集機能は使用すると、そのデータ内では実績の解除ができなくなるようだ。

 

他にはMODによるものなのか顔グラの取り込みやシナリオ作成もできるようだけど
ちょっと難しそうだし現状で満足しているのでここでは触れない。

気が変わって何か分かったら追記するかも。

 

 

気になった点

UIはいまいち!

・・・と世間では散々言われているのだが、実は僕はそこまで気になっていない。

なんでもアーリーアクセス版の当初は問題なかったんだが、スマホでもリリースすることが決まったために、パソコン向けに最適化されていたUIまで変更されてしまったのだとか。

改悪される前を知らないので比較はできないが
決して使いやすくはないけどまあ、まだ許容範囲内かなと。

合戦の移動や攻撃指定に慣れるまでやや戸惑ったぐらい。

 

 

ただし。

 

情報画面などを開いた時とかのコレ!

 

右上に注目!

ゲーム内の×とウインドウを消してしまう×がめっちゃ近いの!

これはマジでなんとかして!!

 

割とよくクリック位置がずれて、ウインドウそのものを消してしまうんだ!

 

一応、フルスクリーンで遊べば誤クリックは起こり得ないって対策はあるんだけどね・・・。
あと毎月初めにオートセーブしてくれるから、あんまり巻き戻されることはないけど立ち上げ直すのめんどいのよ。

 

追記:
今さらながら右クリックでも戻れることに気が付いた。
気付いたところでクセで×押しに行っちゃうんだけどね~。

 

 

武将の格差が酷い

査定は演義を準拠にしているようで、李通や史渙といった正史では名将、演義ではゴミのような扱いを受けている人物の能力値が悲惨なことに。

※ただし曹純は強かったりするので必ずしも演義一辺倒ではない・・・のかな?

蜀の武将は全体的に強すぎ、魏の武将は弱くされすぎな感じで、こういうとこも昔のコーエー三国志っぽくはある。

 

しかし実績解除ができなくなるとはいえ、能力値は編集機能があるので自分好みにいじれば良い。

問題は先に少し触れた固有戦法だ。
有名武将が持つゲーム内では特殊スキルと呼ばれるものなんだけど、これの一部がやりすぎで
この辺の調整のぶん投げ具合が悪い意味でインディーズっぽい。

そして残念ながら特殊スキルに関する編集は一切できない。

 

蜀の有名武将が大体ぶっ壊れで、劉備、張飛、諸葛亮、趙雲辺りが特に酷く
逆に魏は夏侯淵や徐晃クラスですら使い道のないスキルをあてがわれている。

 

例えば劉備の特殊スキルは自軍全部隊に全状態異常解除 + 5ターン高揚状態(ステータス増) + 負傷兵全回復の効果とめちゃくちゃだ。

難易度:標準での負傷兵の割合は減った兵士の70%なので、1万を1千に減らしても6300回復する。
それが全部隊なのだから、やられた方はたまったもんじゃないというか、総兵力がやや多い程度ではこれを使われたら恐らく負け確定。

 

ちなみに、同じく例に挙げた夏侯淵の特殊スキルは3ターンの間、全部隊の移動力が40%増えるというどうしようもないもの。これだけ差があっても消費する気力は同じ70だ。

※このゲームは昔のコーエー三国志のように30日で強制撤退するわけでもないし
 兵糧も余りまくるので急ぐ必要が無く、移動力が上がるメリットはそんなにない。

 

もう1つ参考として、こちらは孫尚香の特殊スキル。

 

 

消費気力40で3ターンの間、自軍弓兵の与ダメージが10%増加。
固有スキルはこれぐらいが丁度いいバランスだと思うよ。

一見するとバフ効果低いけど、弓隊集めて斉射と合わせたら計算上かなり強くなるし。

 

 

おまけ:孫尚香という名前について

ゲームと関係のない脱線した話だけど、孫尚香という名は京劇で使われていたものであり、正史では彼女の名は伝わっていない。

演義における本来の名は孫仁で、これは推測だけど、男性っぽい名前なのでコーエーがゲームに登場させるに当たって
尚香の方を採用したために、日本では京劇に馴染みがないにも拘らずこちらの名が定着したんじゃないだろうか。

 

日本で三国志が広まるキッカケとなった横山光輝氏の漫画や、吉川英治氏の小説では
確か孫夫人という表記だったはずだし。それに孫仁だと名前の響きが曹仁っぽいしね笑

 

 

その他色々

・敵勢力がめちゃくちゃアグレッシブ

敵勢力に囲まれている場合、AIの出征率を最低に設定していても手薄と見るやめちゃくちゃ攻め込んでくるほど、恐ろしく攻撃的。

隣接都市は大兵力を擁してるので、お前ら援軍に蹴散らされるぞ? 
って状況でも少数でガンガン攻めてくるのは結構ストレス。

ただ、コーエーゲーでは(少なくとも難易度が普通の場合)逆に攻めてこなさすぎる気もするので、これは良し悪しなのかなとも思うんだけど。

新しく都市を支配しても兵数がなかなか増えない関係もあり、ゲームの展開は遅くなりがち。

 

 

・編集機能がその場限り

一番最初の記事でも述べているが、能力値編集はそのセーブデータのみ有効で
新たに他のシナリオで開始した場合は元に戻ってしまう、信長の野望 天下創世pkと同じ仕様。

特に本作は総勢1300人もの武将が登場するので、能力値に納得がいかない武将を毎回いじるのは恐ろしく面倒だ。
※参考までに三国志14の総武将数は約1000名。

できればアップデートでどうにかしてほしいところ。

 

 

追記:DLC 竜吟虎嘯について

正式リリースからしばらくは無料で提供されていた有料DLCの1つ。
内容は山賊、水賊、異民族に四神討伐を追加したというものだが・・・

ゲーム開始時の君主を選ぶ画面で、DLCを選択すればON/OFFを設定できるのだが個人的にはいらないように思う。

 

先述したようにこのゲーム、ただでさえ都市の兵力が少なくなるや他勢力が即座に侵攻してくるのに、そこへあちこちに点在している賊も加わったとなりゃあ本当に、出征する度どこかからひっきりなしに攻められて息つく間もなくなる。

特に困るのが水賊で、兵力が少なくなりがちな港を攻めまくってくるのでかなりウザい。
(港は内政値の上限が低いため、頻繁に金と兵糧を輸送せねば大兵力の駐屯が困難)

 

また、シナリオ次第では周泰や甘寧、臧覇といった賊上がりの有名武将がこれら勢力に属しているので、家臣に加えにくくなるというのも難点だ。

彼らが属する拠点を攻め落とすと稀に心服して仲間になるが、かなり低確率っぽい。
そして兵力は固定で5万ほどと結構強く序盤ではとても相手にしている余裕がない。

陥落させると強力な装備品を落とすが、こいつらを片手間に始末できるぐらい勢力拡大していたら
正直不要で自己満足レベルだし、倒しても1年後ぐらいには復活するしで本当に邪魔でしかない。

 

四神討伐はよく分からんね。
ほとんどダメージが通らないのに相手の兵数(というか体力?)30万って勝てるんだろうか、これ。

項羽の亡霊や年獣は絶対に勝てないようになってるっぽいけど、向こうは負けても兵数は減らないし宝物がもらえる。しかしこちらはしっかり兵士は減るし、何も貰えない。

繰り返し挑んで倒すものなのかと思いきや、次に挑む時にはしっかり全回復しているので、何のための要素なのか分からない。

 

異民族だけは面白いと思うよ。
賊同様にこちらを襲ってくることもあるけど、僻地にしかいないので襲撃先はかなり限られているし
金や兵糧、宝物などを贈ることで他勢力を襲わせることもできるしで、駆け引きもできる良いスパイスになっていると思う。

異民族だけONにできりゃあプレイの幅が広がって面白いと思うんだけどね。
2021年3月25日現在では、必要のない追加要素かなーと。

 

 

まとめ

こういった歴史を題材にしたストラテジーゲームは今後、インディーズに期待したいなと思わせてくれるほど響いた一品だった。

日本ではほぼコーエーからしか発売されないし、確かにクオリティも毎作結構高いものを出してはくるんだけど、あの値段分楽しめるかって言われたら微妙なんだよね。

三国志14も興味はあるものの、PKやシーズンパス全部揃えるとゲーム機(Switch)に迫るレベルの値段だと思うと、どうも手が出せない・・・。

 

気になった点で挙げた×マークの位置と能力値編集の永続化、そして特殊スキル編集ができるようになれば個人的には躊躇なく満点を付けられるレベルで楽しんでいる。

 

インディーズだけに粗削りな面も多いけど
信長も三国志も最近のはいまいち合わないなぁって人や、武将のデータを眺めるのが好きな人には
自信をもってお勧めできる作品だ。ターン制の合戦の方が好きなら値段分以上の価値があると思うよ!