スクウェア・エニックス 再起動の3年について思うこと

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国内メーカー大手、スクウェア・エニックスがゲーマーだけでなく投資家の間でもちょっとした話題になっている。

何があったのかは、報道された記事をご覧いただく方が手っ取り早いだろう。
少し触れておくと200億超もの特損を出し、事業の方針を見直すというものだ。

 

スクエニ、特損221億円で広がる波紋 背景にあるのは「特定IPに依存しすぎ」体質か
スクウェア・エニックス・ホールディングスが発表した約221億円の特別損失がゲームファンの間に波紋を広げている。なぜこのような判断になったのか。

 

ゲームが趣味ということもあって、スクエニ作品はあまりプレイしないのだが大手企業の動向として気になるニュースではある。ということで本日は自分がスクエニのゲーム作りについて思うところを色々整理してみよう。

こうした方が良いのでは? という意見も付け加えてね。
素人考えなのでこちらは的外れかもしれないが。

 

 

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量より質と言うが・・・

大幅減益を受けて立て直しを図るとのことで示されたのが、確かな面白さを届けるために量から質へ転換する、といった旨の方針。いくつかのタイトル開発中止に次いで自分の目に留まったのはこれだ。

 

確かに発売しているタイトル数自体は同業他社よりも多いイメージだが、この会社の場合は質の方を疎かにしていたようには自分には思えない。

ただその質に対する認識がユーザーと食い違いまくっていて、方向性も間違っているとはずっと前から思い続けていた。

例えば有名な話だと岩の取材で各地行脚、おにぎりのポリゴン数とか、ベッド一つに80人集めての長時間会議だとか・・・ゲームの面白さに直結しない、どうでもいいことに労力を割きまくっているイメージが強すぎる。

そしてそれを得意げに話すのもユーザーと感覚がずれまくってると思うし、こういうことの積み重ねが原因で、主力タイトルの発表から発売までの年数がやたら長いんじゃないかと、素人考えでは思ってしまうな。

 

まず認識から改めないと、今の方向性でさらに質を追求したところで、ますますユーザーが求めるものとの乖離は激しくなっていくような気がするんだけど・・・。

とりあえず僕はこの会社からは、面白いゲームを作ってやろうという気概は感じられず
作りたいものを(悪い意味で)自由に作っているという印象を受ける。もちろん人気を維持できるならそれは決して間違いではないし、クリエイターとしてもやりがいは増すのだろうが。

 

 

正直グラフィックはほどほどで良い

スクエニといえば映像にこだわりすぎて、他がなおざりになっているイメージもある。
前段で挙げたいくつかの例も、システムではなくグラフィックに関わるものばかりだしね。
(そのグラフィックも今や、他社のAAAタイトルと比して優れているとも思わないが)

力を入れるなとは言わないが面白さに繋がっておらず、イベントやムービーなど操作を受け付けない時間が非常に長いと、映像美を見せつけたいだけなんじゃないかと却って印象は悪くなってしまう。

 

そして近年の多くのスクエニ作品は、フォトリアルにこだわっているようだがこれも良くない。

キャラクターデザインが北米などの有名タイトルのようにリアル調ならば気にならないが、FFで同じようにしてしまうと服装といい髪形といい、質の悪いコスプレのように見えてしまうからだ。

 

 

FF7Rは自由度のなさなどゲームとしてもガッカリしたのだが、キャラグラフィックも苦手だった。

リアルにこだわっているのに顔の造形は現実的ではなく、かと言ってアニメ寄りでもないマネキンや蠟人形のようではっきり言って不気味。エアリスとティファ、女性陣は特に気持ち悪い。

この見た目で自分の背丈ぐらいの巨大な剣を振り回したり、言動や仕草はアニメっぽいのも不自然。

自分が基本的にFFを買わないのは、グラフィックで敬遠してしまっているという点はかなり大きい。
(15はセールで安くなった時に買ってみたが)

 

 

こちらはスマブラSPより。

顔つき、質感とも原画を再現しているためデザインも髪形も違和感はなく、同じキャラクターでもリアル寄りにするかアニメっぽくするかで、受ける印象は大幅に変化する。

これが逆にGTAVのトレバーなんかだったら、アニメ調にすることで逆に不自然さが増すだろう。ただリアルにするのでなく、作品の雰囲気に合った映像にすることの方が大事なのではないだろうか。

すでに5年以上昔の作品だが、グラフィックのクオリティも私的には十分。
これなら買ってみようかなという気が起きるかもしれない。

 

確かに映像のリアルさがゲームの面白さに直結するものもある。

例えばGTAやRDR、TES、ウィッチャーシリーズなど没入感の高い作品がそうなのだが、そんな優良タイトルが出てくるのはごく稀だし、少なくともスクエニのタイトルというか、J-RPG全般には僕は求めていない。

日本的なファンタジーとリアルな質感のグラフィックは水と油だと思っている。

 

グラフィックが綺麗で良かったと思うようなゲームってそんなに思い出せないし、上で挙げたタイトル群もいずれももう結構古い。なので最近は美麗CGよりも表現の仕方や見せ方が上手いインディーズ作品の方が、映像面で心を奪われることは圧倒的に多い気がするな。

これはあくまで私見でしかないが、この見出しの通りグラフィックはそれなりの水準を満たしていれば僕はそれで良い。綺麗な映像とは決して精細なCGだけでなく、見せ方の工夫が重要だと思うんだ。

 

【評価/レビュー】 FF7リメイク 【自由度皆無の一本道ゲー】

 

 

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発表から発売までが長すぎる

FF7Rで発表から発売まで4~5年程度だったか。
他は調べていないがスクエニの主力タイトル全般、発表から実際に発売されるまでの期間が長すぎるイメージもある。

耳目を集めたいのだろうが自分の場合は期間が空きすぎると興味が薄れていくし、ある程度形になって発売時期が見えてきた段階で発表した方が、良いのではないかと思うのだが。

 

ゼノブレイド3なんてニンダイで初お披露目してから約半年でリリースされているが、発表時の熱が冷めないまま本編を遊ぶことができたのは嬉しかったね。

 

何年も待たされて、もういいやと離れていく人もいるだろうし、気持ちが冷めてからプレイすることで、通常ならあまり気にならないような粗にまで目が行って悪目立ちしてしまい、評価を落とすなんてケースもあるんじゃないかなぁ・・・。

これだけ時間かけてこんなもんなのか、と思われてしまう要素は結構あるのかもよ。

 

そして経過した時間の分だけ、世の中には優れた他作品が増えてユーザーの目は肥えていくし、キャラデザなど流行も変わっていくのだしね。

これは個人の好みも大きいことは前置きしておくが、近年のスクエニ作品全般キャラがあまりかっこいいと思えない。これは開発に時間をかけすぎて、構想段階では流行りのスタイルだったのかもしれないが、発売される頃には古臭くなってしまっているのも原因なのではないだろうか。

 

 

 

信用の切り売りは駄目

これも大事・・・いや、一番重要なことかもしれない。
この会社の信用問題で自分がまず頭に思い浮かんだのは、FF7RにおいてPS4ユーザーに後ろ足で砂をかけるような切り捨て方をしたこと。

元々PS5が世に出る直前に発売されたとはいえDLCの追加ストーリーも、三部作の続編もPS5のみというのは続きを待っていたファンにとっては、あまりにも酷なやり方だろう。

 

三部作で途中でハードが変わるなんて聞いたこともないし、二作目がつい数カ月前(2024年5月現在)に発売されたばかりだが、これだってすでに前作およびPS5の発売から約4年も経過している。ならば最終作が出るのはまた4年後ぐらいと仮定できてしまうので、再びハードをまたぐことになる可能性があるわけだ。

(今回方針を変えることを謳っているのもあって)さすがにそこまでの愚は犯さないと思うが、信用を無くしてしまうってそういうことなんだよ。常に警戒されてしまう。

 

元々FFシリーズが右肩下がりを続けていたのに、残っているファンまでバッサリ切り捨ててしまった結果、リバースの売り上げは前作比で約60%も減ってしまった。

これはもちろんハードの普及台数の影響なども大きいだろうが、特定の機種独占という形にしてしまったのは他ならぬスクエニ自身。もしかしたら初代PSの頃のように、FFに未だハードを牽引するほどの求心力があると思ったのかもしれないが、それならば見通しが甘すぎる。

 

あるいはPS4ではもう性能が足りないからとかそういう理由かもしれないが、三部作で出すと決めたなら最初に発売したハードぐらいは最後までフォローすべきだろう。

そもそも三つで一つの作品ならば、途中で劇的に要求されるスペックが増してしまうような変化は不要だし、そうせざるを得なかったのなら企画段階で方向性が間違っていたのだと言わざるを得ない。

ハードをまたぐだけでなく一年も待たずフリープレイになったことも、発売日に購入した者からすれば裏切られた気分だろうね(もっとも僕はそのお陰でFF7Rに触れる機会を得たのだが)。

 

他にもスマホゲーで色々やらかしているようだが、スマホゲーは基本的に遊ばずあまり詳しくないのでここでは触れない。

有名、人気作品のIPを使ってはすぐサービス終了を繰り返すなど、過去の遺産を食い潰しているという批判はよく見かけるが・・・。

コンシューマーでの話に戻すならば僕は購入しておらず伝聞でしか知らないのだが、バビロンズフォールの一件などもあまりにも酷く、信用を一発で失墜させるには十分すぎるほどだろう。

 

※バビロンズフォール

オンラインプレイ専用タイトルとして発売されたが一年経たずサービス終了。オフラインモードがないため、パッケージを持っていようがもう二度とプレイすることはできなくなっている。

希望小売価格8580円、限定版は2万円近い上ゲーム内課金もあったにも拘わらずの仕打ち。
もし自分が購入者だったならば、二度とこのメーカーのゲームは買わなくなっていただろう。

 

 

まとめ

近年のスクエニでも主にリメイク作品 ─FF7はさておき─ を中心に良いゲームは結構ある。
(そもそもあれは別物すぎてリメイクと言っていいのかどうか)
聖剣伝説3、ライブアライブ、スターオーシャン2はいずれも良い出来だった。

 

ただやはり古い作品のリメイクというのは新規はあまり望めないだろうし、かといって有力シリーズも信用の低下によって売れなくなってきてしまっている。

持続性のある新規IPを生み出すのは必須だと思うので、ここで一度大作路線を捨てて中堅規模のゲーム作りに力を入れてみてはどうだろうか。

上のタイトルたちはリメイクなので原作の良さによる影響が大きいが、これらを除いてもオクトラやトライアングルストラテジー、ハーヴェステラなど、中規模タイトルは今でも面白い作品が多い。

 

Switchは低性能だ何だと馬鹿にされがちだけど、個人的には及第点だしPCはともかくゲーム機でもソフトを売りたいなら、今の時勢だとSwitchとのマルチは必須だと思う。

ハイスペック路線を貫くなら最低でもPC、できればXboxでも出すべきではないかと思う。
ファーストならともかくサードが大作を特定の機種独占にしてしまうのは、あまりにもリスキーではないだろうか。

 

何より今のようにスペックを追求しすぎて開発期間が長くなりすぎたり、値段が高くなりすぎるぐらいなら、ほどほどの規模で面白いゲームを作る方が良いんじゃないかな。

そして有り余るスペックに明かせてあれやこれやと詰め込むから不要なムービーが増えたり、全体をまとめきれなくなって微妙な作品が生まれてしまっているんじゃないのかなと思う。

ある程度制約があり、不要なものは切り捨てていった方が良いゲームは生まれるんじゃないかと、インディーズタイトルの名作群を見ていると思ってしまうね。

 

何だかんだ苦言を呈したがFF6やロマサガ、聖剣シリーズなど思い出深い作品も多いので経営方針を改め再起を目指すというのなら応援したい。遅きに失した感はあるがユーザーと真摯に向き合い、良い作品を作り続ければ時間はかかっても失った信用は少しずつ取り戻せるはず。

 

ただ再起動の3年間と言うが、期間はもっと長く見積もった方が良いんじゃないかな。

信用って崩れるのは一瞬だけど築き上げるのは時間がかかるから、十年ぐらいは覚悟しておいた方が・・・やっぱり見通し甘くない? と思ってしまったのも確かなので。