先日紹介した黒神話:悟空をようやくクリアできたので、本日は改めてご紹介。
アクションだからサクッとクリアできるだろ、なんて思っていたがしっかり探索すると
想像を遥かに超えるボリューム、しかし最後まで飽きずに楽しめるという素晴らしい作品だったな。
なお、本作はPCだけでなくPS5で発売されているが、少なくとも2024年9月現在は
パッケージ版が存在せず、ダウンロード専用なのだとか。ちなみに僕が遊んだのはPC版。
お気に入り度:★★★★★
良かった点
良い点・悪い点ともに、前回記事をベースに追加、追記する形で。
絶妙な難易度! 理想的なゲームバランス
最初は死にゲーの中では難易度は低めかな、と思ったが終盤はしっかり難しい。
しかし遊んだだけ自分も上手くなっていくので、以前に書いた
次は勝てそうだな(でも何回も死ぬ)という絶妙なバランスは最後まで維持できていた。
敵は強いが自分も強いこのバランス、アクションRPGとしては結構理想的なんじゃないかなぁ。
一作目しか遊んだことはないけど、ゴッドオブウォーも敵は強いが自分もクソ強い、って感じのバランスだったっけな。
で、このゲームバランスでボスラッシュと形容されるほどボス戦が多いのも最高だ。
それぞれに異なる攻略法があって、達成感を得られる機会が多いのが最後まで没入できた最大の要因かもしれない。
どうしても勝てない!強い!って場合は丹薬に頼るとあっさりいけたりね。
ラストエリクサー症候群を持つ自分には辛いが、超強力な補助効果を持っているので使うか使わないかで難易度が段違いなんだよね。
ラスボスは初めて「勝てる気がしない!」と思った相手だったが、お薬に頼ればあっさりいけた程度には強いのだ。
アクションもなかなか奥深い
武器種が実質一種(槍があるが終盤は役に立たないし)なので、アクションが単調という
意見をしばしば見かけるが、自分は特に気にならなかった。
※仁王2なんかは多彩な武器を使うのが楽しいので、そういう意見を持つ方の気持ちも分かる。
法術を絡めた立ち回り、棍勢と重撃のシステム等々、行動の自由度や戦術性は高いので飽きずに楽しむことができた。
術にしろアイテムにしろ、使えるものは全部使って勝利をもぎ取るって感じなのは仁王2を彷彿とさせるかも?
(あちらは秀の字本人は打たれ弱く、天命人に比べ大分貧弱だが)
この系統のゲームにしては回復アイテムがカスタマイズできるのも面白いね。
葫蘆(器)、酒、漬け材の三種を変更し、例えば回復量は減るが飲むと攻撃力が上がる酒とか
飲むとしばらく状態異常耐性が上がる漬け材だとか、色んな効果を得たり失ったりできるわけ。
難しいが死にゲー入門には丁度良い
メニューを開いても時間が停止しないのは良し
死にゲーは大抵、メニューを開いている間も時間が経過しているが、本作は完全に停止する。
なので丹薬もショートカットに登録していない物でも使うことができるし、下手の横好きにはありがたいなと。
ぬるくなるのが嫌なら、丹薬を使わない縛りプレイをすれば良いだけだしね。
デスペナルティがないのも良いぞ!
死にゲーと言えば死亡時に経験値をすべて落としてしまい、回収できなければ全損というシステムがやはり大抵あるが、本作にはデスペナルティは何もない。
あれは正直個人的にはストレスでしかないので、気兼ねなくトライ&エラーに専念できるのは大変助かる。
頭に血が上って回収前にしょーもない死に方をして、落とした経験値全損・・・
誰もが通る道だろうしね。
近年はLies of Pのようにボス戦でやられた場合は、戦闘エリア手前に出現するなんて
ゲームもあるが、そもそもこのシステムを消しちゃっても良いんじゃないかと思ったり。
グラフィックがヤバい
これは前回記事でも絶賛したけど、パッと見た感じが凄いだけじゃなく細部まで
狂気を感じるレベルでこだわって作られているのが立派。
上の画像の光や水面もそうだし、砂地や雪上では移動のし方やダウンなど行動によって地面に残る跡の形が変わるし(体にこびりつく雪の表現もリアル)、岩壁に彫られた何百もの石仏は
それぞれ形が違う・・・ように見えるだけで、これはさすがに分かりにくくしてるだけだと思うが、とにかく一切妥協が感じられない造りだ。
グラフィックだけ綺麗で中身はスカスカ、というゲームは多いが
(そういう作品が多いので基本、僕は映像美はあまり評価しない)
中身が伴っていれば没入感は増すし、やはり大きな武器になるのは間違いないよね。
ストーリーは良い! ・・・と思う
大まかな流れは把握できるものの、細かい部分は原作を知っていることが前提だという印象は受けた。
西遊記をほぼ知らない僕には各登場人物の関係など分からないことも多かったが、演出含め
盛り上げ方の上手さもあって原作に興味を持つほどに楽しめたので、元ネタを知っていればかなり面白いんじゃないかな、と。
本作は皆が知る西遊記の物語のその後を描いた話なので、つまりは知っていると
「あいつがここで、こういう役回りで登場するのか!」みたいな驚きもあったりするんだろう。
関連商品が多すぎてどれに手を付ければいいのか分からないが、近いうちに読んでみようと思う。
(全十巻ぐらいあるが翻訳版がベストなんだろうか)
各章の合間にはアニメーションを用いたムービーも。現代風かと思えば日本昔話のような古風の映像だったり、人形劇のようなものもあったり、章ごとに見せ方が違うのは面白いね。
アニメムービーの悟空、イケメンすぎて惚れるわ。こんなの。
挿入歌など含めBGMも全体的に西遊記の時代に合った古風、かつ壮大さを感じさせるものが多く
音楽面でも大変満足できたのも好ポイント。
首なし法師の歌と三味線(三弦という楽器?)は妙に耳に残るというか、クセになる。
べベンベ ベンベーン~♪
デザイン含めキャラクターも魅力的
メインからチョイ役まで、登場人物もそれぞれ良かったな。
本作の悟空はサルをモチーフにしたキャラで、生まれて初めてかっこいいと思ったかもしれないし、こんなかわいい猪八戒を見たのも初めてだ。
相手をおちょくったような声色も含め凄く良かったので、悟空の出番が少なかったのは残念だが。
※主人公ではないのにタイトルが西遊記ではなく悟空である意味は、最後に
しっかり回収してくれたのはさすが。
超美人なのに首から下は蛇(手足は人間)、なんて日本ではそう見ないデザインのキャラもいて興味深い。
余談だが悟空といえば二人のお供というイメージが付きまとうのだが、本作には猪八戒だけで
沙悟浄は残念ながら登場しない。
そして「そういや沙悟浄って何で河童なんだ? あれって日本の妖怪じゃないのか?」なんて
思いついて調べたところ、本来は全然違う容姿なのだが日本向けにアレンジされて河童になっただけなんだそうな。
未確認生物説もあるのでもしかして中国にもいるの!? なんてロマンを感じて胸が高鳴ったが
全然そんなことはなかったよ。
気になった点
ステージの境界線が分かりにくい!・・・が
各ステージはどこまでも広がっているように見える場所が多いが、実際は見えない壁に阻まれ
行けそうなのに進入できない場所がそこかしこにある。
もう少し先まで広がっているように見えるが、これ以上進むことはできない。
・・・のだが、一応挙げたもののこれは正直、私的には悪い点だとも言い切れない。
というのもこういうゲームは大抵の場合、入れない場所は分かりやすく高い壁になっていたり
鬱蒼とした茂みになっていたりするものだが、そうすると遊びやすい一方でゲームらしいご都合主義的な構造に見えてしまうし閉塞感もある。
逆に本作のようなデザインは遊びにくくはなるが、仮に前者のような構造にしてしまうと
中華の大地が持つ雄大さや、壮大なスケール感の魅力が大幅に割り引かれてしまうのは間違いない。
なのでどっちが良い悪いでなく、一長一短といったところなんだよね。
まあある程度プレイすれば何となく分かるようになってくるし、そこまで気にすることでもないかな。
最終ステージは微妙
最終ステージは何故か唐突に、セミオープンワールドに。
風光明媚な花果山を筋斗雲で飛び回るのは気持ちいいものの、点在するボスを探す以外に
探索要素などは無いしちょっと退屈だった。ボス探しもどこにいるかなど、導線が弱いのも気になったな。
※絶対倒さねばならないボスがいる場所は広い空き地になっていたり、遠くから見ると雷が落ちている(?)のである程度分かりやすくはされているが。
スカイリムやフォールアウトのように、画面上部にでもアイコンを表示してくれると助かるんだけど。
孫悟空の代名詞の一つたる筋斗雲を、イベントシーンだけでなく実際に操作してもらいたかったのか。あるいは、次や他にやりたいことを試作的に実装してみたという感じがしなくもないが・・・?
黒神話:○○でシリーズ化できるよなと思っていたらやはりそういう構想があるようで、もしかしたらいずれオープンワールド化した黒神話を遊ぶことができる日が来るのかもしれないね。
導線の弱い部分がちらほらあるのが気になる
上の最終ステージもそうだが、いくつかのサブイベントは普通に遊んでいては気付かないようなものも多いのは少し気になった。
例えば飛龍の鱗イベントなんて、ボス・沙大郎戦で特定の壁へ体当たり攻撃をさせる、なんて
ノーヒントでどれだけの人が気付いたのだろうか。
※沙大郎を倒してしまっても借身・亡魂の頭突きや法術・碧塵など一部の攻撃で破壊可能。
法術間のバランスは少し気になった
使い勝手に差があり、例えば金剛術は同系統で競合する気行術に対して強みが見いだせない。
タイミングは結構シビアなのに失敗すれば法力は無駄になるし、弾けない攻撃も多い。
借身は種類が多いものの、最初に入手できる亡魂が技・携帯効果ともに優秀すぎて
最後までこれがメインだったし、これらに関してはもう少し上手く調整してほしかった感はある。
金剛は失敗したら法力消費無し、でもクールタイムは発生みたいな感じだとどうだろう?
まああくまで自分の場合は、であって実際は気付けていない強みがあったりするのかもしれないが。
一部ボス戦は少し理不尽に感じる
百眼魔君など一部の人型でなく、かつ巨大なボスの当たり判定は納得いかないことが多い。
前足などに阻まれて劈棍だと、重撃が当たってるように見えるのに当たってない、なんてことが頻発する。
他はすべて許容範囲内だったけど、これだけは明確に駄目だと思うし
アップデートなりで修正してほしいなぁ。
ダメージは落ちるが刺棍で戦うという対策はあるのだが・・・。
あと風翅将軍、大石敢当あたりの倒し方が分からないと絶対勝てないボスなんかは
もう少しわかりやすくヒントを示すなりしてほしかった。
まとめ
プレイ時間は一周目クリアで約50時間。真エンドがあるらしいのでそれを狙いつつ
現在は二周目をプレイ中。
開発元であるGame Science(游戏科学)にとっては本作が処女作らしいが・・・
いやいや、第一作目がこの完成度って凄いな。
しかしゲームとしての楽しさや映像美、演出の上手さは最先端クラスである一方、レトロゲーじみた導線の弱い隠し要素など、変なところでノスタルジーを感じることもある、何とも不思議な作品だったね。
色んなゲームをとても良く研究しているが、まだ少し作り慣れていないという印象を受けたが
この程度のことは、今後経験を重ねていくことで直に解消されるはず。
今まで遊んできたアクションRPGの中でもトップクラスに楽しかったし、予定されているという
大型拡張コンテンツや制作されるであろう他作品も楽しみだね。
近年は和ゲーだけじゃなく中韓台といった東アジアに、個人的に注目しているスタジオが増え続けているのだけど、こちらの会社も仲間入り。今後どう成長していくのか一ユーザーとして見守っていきたいね。
おまけ:
以下は東アジア発の個人的なおすすめ作品たちで、制作された国は上から中韓台。
私的にはいずれも記憶に残り続けるであろう名作。
【評価/レビュー】 イーストワード(EAST WARD) 【傑作A-RPG!】
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【評価/レビュー】 OPUS 星歌の響き 【魂を揺さぶる一作】